今日、キャリアを積み、ビジネスへの影響力を高め、より優れたリーダーになりたいとの願いは、従業員のどの層にも共通しています。
同時に、多くの企業・組織では、人材不足への対応を迫られています。そのためには、以下のアクションが不可欠です。
- 収集:個人化され、データに基づき、アクションに転化する事が可能な 従業員インサイトを収集する事が重要です。
- 立案:具体的かつ測定可能で、重要なビジネス目標に沿った成果を出すためのビジネス戦略の立案が必要不可欠となります。
360度評価システムは、組織の中でリーダー的な役割を務める管理職の能力開発に理想的な仕組みです。従業員がリーダーシップをどのように定義しているか、リーダーシップがどのように機能しているかを理解するとともに、将来のリーダーを特定することを可能にします。
この記事では、360度評価をリーダー育成に活用する方法をご紹介します。
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360度評価とは
360度評価は、従業員の上司・同僚・ベンダー・直属の部下から、職場のさまざまなコンピテンシーについて、秘密裏に匿名でフィードバックを求める、従業員育成のためのツールです。クアルトリクスの提供する360度評価ツールは、堅牢なリアルタイム分析とAIを使用し、ビジネス戦略や投資の策定、ビジネス全体におけるタレントマネジメントの意思決定を支援します。
測定する内容は以下のとおりです。
- 行動とコンピテンシー
- 同僚が従業員をどう見ているか
- 企画力、傾聴力、目標設定力
- 人格、チームワーク、リーダーシップ能力
一方で、360度評価は、従業員の業績目標・基本的な職務要件・技術的スキル・欠勤・売上目標などの測定には使用されません。
なぜ管理職育成に360度評価が効果的なのか
360度評価は、組織のリーダーとなる管理職の育成に効果を発揮するツールです。リーダーの行動は、一般的に次のような「ソフト」スキルが中心です。
- コミュニケーション
- 意思決定
- チームワーク
- 問題解決
- エンパワーメント
- 共感
このようなスキルは、従来の調査やアンケートで評価・測定することは非常に困難でした。このような調査やアンケートの結果は、誤った分野に焦点を当てたり、短期的な行動変容を促し、長期的に持続させることができない可能性があります。
例えば、あるリーダーが「チームメンバーに対し、指示がうまく伝わらない」と報告したとします。従来のトップダウン型の評価では、この通りのフィードバックしかチームメンバーに伝わることはありません。この結果、メンバーは不満や憤りを感じることになりかねません。
これに対し、360度評価では、チームメンバーも発言します。例えば、「上司はコミュニケーションが下手で、指示が明確でない」といったような内容です。これに従い、マネージャーは、より良いコミュニケーションのためのコーチングやトレーニングを受けることができます。この結果、チーム全体、そして組織全体がより豊かになることが期待できます。
360度評価は、多面的な視点から収集されるため、より包括的で、個人のバイアスがかかりにくいのが特徴です。360フィードバックは、リーダーが自分の役割をより良くこなし、部下にインスピレーションを与えるのに役立ちます。
管理職向け360度評価の恩恵を受けるのは誰か
一言でいうと「全員」です。
- 組織のリーダー :プロフェッショナルとして成長し、より強力なチームを作り、リードし、職場文化にプラスの影響を与え、組織にインパクトを与えるために、自分自身の強みと弱みを理解する必要があります。
- 中堅およびフロントラインのマネージャー:運営上のベストプラクティスを推進し、チームの生産性を高め、適切なタイミング、場所、範囲で実行可能なフィードバックと指示を提供する必要があります。 マネージャーは、継続的な従業員能力開発を日常業務の重要な部分とするために、コーチングを必要としています。
- 一般社員:キャリアを伸ばし、日々のパフォーマンスを向上させ、ひいてはリーダーになるために必要なスキルと行動を身につけるために、実用的でタイムリー、かつ偏りのないフィードバックを求めています。偏りのない、データに基づいた、実用的なフィードバックを適切なタイミングで要求し、受け取ることは、特にリモートワークの場合、難しいことです。
- 組織:将来のリーダーと育成のギャップを特定し、人材ギャップに対処するプログラムを効果的に提供し、組織のパフォーマンスを向上させるために、360度評価によって提供される重要な洞察を必要としています。
クアルトリクスの 360度評価ソリューション:組織の成長・生産性・エンゲージメントを高めて、優秀な従業員と強力なチームを育成します。ソリューションのお問い合わせはこちらから
管理職向け360度評価の実施方法
1.最新のテクノロジーソリューションに投資する
多くの企業で現在利用されている多面評価システムは、往々にして内容が時代遅れである上、高額につくコンサルティング サービスが付属しています。
加えて、設定から起動、データ収集、レポート作成に多くの手動設定が必要です。さらに多くの場合、従業員エクスペリエンス分析プラットフォームとデータが連携しておらず、変更や微調整のたびに費用がかかる可能性があります。
360度評価 を<br>最新のプラットフォームで<br>実施するメリット
- 拡張性:管理コストをかけずに、より広範な層の従業員にプログラムを提供することができます。
- カスタマイズ可能:自社固有のニーズに最適な形態で実施が可能です。
- インパクト:自社全体の開発ギャップを時間をかけずに特定し、成果を長期にわたって追跡調査することができます。
2.「リーダー」とは誰か
企業によっては、「リーダー」とはいったい誰なのか、どのような責任を負っているのかが明確に定義されていない場合があります。そのような場合は、360度評価を使って従業員に質問してみてはいかがでしょうか?
現場を最もよく知っているのは、やはり現場の従業員です。現場での感じ方を理解してこそ、改善点や目標とする地点も見えてくるといえます。
例えば、360度評価の設問の一部に、従業員にリーダーや上司の尊敬する行動についての質問を盛り込むことが考えられます。さらに、その項目に対して AI言語解析 を利用することで、従業員がリーダーについてどう考えているか、あるいはより具体的にリーダーについてどのような会話が交わされているかを把握します。
そして、経営陣の協力は、企業文化を変え、戦略的なビジョンを実現するための最大のキーポイントです。より開かれた経営の一環として、経営陣への360度フィードバックやスコアを公開している企業も存在します。
3.次期リーダーの発掘
現在のリーダーが優れたリーダーシップを発揮しているかどうかを見直すだけでは十分ではありません。自社に既に在籍している 将来のリーダー候補 を見極めることも重要です。
高額な費用をかけて社外からエースを引き抜いてくるよりも、社内から優秀な人材を登用する方が、はるかにコストパフォーマンスが高いといえます。また、すでに採用され、能力に投資されている優秀な人材が離職しないような工夫も必要です。
新しいリーダーを発掘する際には、自社のブランドビジョン、つまり、自社が将来どうありたいかを決めることが有効です。これを知ることで、ビジョンの達成に向け、リーダーに必要な資質や能力に焦点を当てることが可能になります。
そして、360度評価サーベイにそれらの資質や能力に関する質問を盛り込み、レビューの対象となっているメンバーが 必要な資質を発揮しているかどうか をコメントするよう求めることも有効です。前述の 360度評価AI技術や 自然言語処理 により、どのような従業員がリーダーとしての素質を示しているかが明らかになります。
360度評価プログラムの結果を利用することで、リーダーとしての可能性を持っていると判断された従業員のための個別開発プログラムを作成し、早期から素質を伸ばせるように支援することが可能になります。
また、既存のプログラムをカスタマイズして、将来のリーダーのスキルやコンピテンシーのギャップを埋めることもできます。
多くの若手社員が「キャリア開発の可能性」を会社選びの指標としている中、これは人材育成・獲得・離職防止に役立ちます。
4.進捗・成長の確認
リーダーとなる資質を持つ人々は、あれこれ細かく指示されることをあまり好みません。実際、リーダーの仕事に対する満足度の最大の要因の1つは、自律性であることはよく知られています。しかし一方で、リーダーの自主性を尊重しながら、パフォーマンスを測定するためにはどうすれば良いかという課題は残ります。
そのため、360度評価は、定期的に実施が可能でありながら、より押しつけがましくない方法として活用されています。また、上司と一対一で行う査定や、単に目標達成のための評価ではなく、自分が組織の中でどのように見られているかを知ることができるため、リーダーにとっても有益です。
有効に利用することにより、チーム メンバーをどれだけ 鼓舞し、やる気を伸ばし、育成しているか、あるいは変革や改善を進めようとしていることがどのように受け止められているかなど、本当の意味でのリーダーとしての自覚がどの程度あるかを、360度評価は示すことができるのです。
360度評価アンケートに盛り込む項目と設問例文
360度評価アンケートでは、リーダーの行動に現れる素質について質問することができます。以下は、その例です。
- 権限と部下への信頼:限られた情報しかない中で、素早く、自信を持って、明確な決断を下し、他の人にも同じように権限を与えているか?
- コミュニケーション:明確で、率直で、正直なコミュニケーションをとり、オープンな対話を促しているか?
- 相手への尊敬:相手が誰であろうと、どんな状況であろうと、敬意を持って接することができるか?
- トレーニング:目標達成や潜在能力を発揮するために、他者の学習や能力開発を促進しているか?
- 認識:他者の努力を認め、適切に評価し合っているか?
- パフォーマンスと説明責任:説明責任を果たし、結果を重視し、タスクやプロジェクトを完遂させる強い意識を持ち続けているか?
- 仕事の進め方:仕事の進め方を継続的に改善し、プロセスの効率化を推進しているか?
- 革新性:新しいアイデアを生み出し、新しいことに挑戦し、現状を打破しているか?
- チェンジマネジメント:変化に適応し、変化の担い手として行動しているか?
- 将来的戦略:将来を見据え、戦略的な視点で問題や課題に取り組んでいるか?
また、360度評価に以下のコンピテンシーを追加して、より深く掘り下げることも可能です。
- 倫理感:正しいことを行っているか?
- 成長と発展:自ら成長の機会を求めているか?
- レジリエンス(回復力):困難を乗り越えているか?
- 協調性:他者とうまく協調しているか?
- 心理的安全性:リスクを取っているか?
- 信頼:約束を守るか?
- 顧客中心主義:顧客の問題に効果的に対処しているか?
- 安全性:安全への取り組みを行動で示しているか?
- 企業の社会的責任:自身で社会的責任を果たしているか?
バリューに沿った行動:会社の価値観に沿った行動をとっているか?
360度評価ソリューションで
未来のリーダー層を育成