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ユーザー エクスペリエンス(UX)リサーチ:定義と方法論

この記事は 11分 で読めます
優れた製品やサービスを構築するためには、顧客がどのような人物で、何を必要としているのか、そして、顧客の抱えている悩みや優先事項はどこにあるのかを徹底的に理解する必要があります。ユーザー エクスペリエンス(UX)リサーチは、顧客の立場を深く理解するために役立ちます。

ユーザー エクスペリエンスとは何か?

ユーザー エクスペリエンス(UX)とは、ユーザーがタスクを完了したり、プラットフォームやサービスを利用したりする際の、顧客の視点を指します。
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UX は、カスタマー エクスペリエンス(CX)の考え方と密接に結びついています。しかし、UX では、ブランドを全体的に捉えるのではなく、実用性とユーザビリティ テスト、つまり実践的な側面に重点を置いています。この意味で、UX は CX の一分野と考えることができるでしょう

CX リサーチでは、顧客が企業のカスタマー サービス レベルをどのように受け止めているか、問題を解決してもらうことにどの程度自信を持っているかを調査します。一方、UX リサーチでは、顧客がセルフ サービスのウェブサイトを使いこなせているか、サイトで使われている文言や説明は理解しやすいか、サイトはどれだけ使いやすいかに焦点を当てます。

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ユーザー エクスペリエンス(UX)リサーチとは?

ユーザー エクスペリエンス(UX)リサーチとは、顧客が実用的・機能的なレベルで一定のブランドとどのように接するかを深く掘り下げ、顧客がどれだけ簡単にタスクを完了し、目標を達成できるかを観察することです。

ユーザー リサーチとは、観察、タスク分析、その他のタイプのユーザー フィードバックを通じて、顧客の行動、動機、ニーズを発見するプロセスです。UX テスト セッション、デジタル ツールを使用したリモート セッション観察、ユーザー フィードバックを収集するためのアンケート調査、その他多くの UX リサーチ手法やテクニックを使用して、ターゲット オーディエンスのメンバーと直接コラボレーションすることができます。

なぜUXリサーチは重要なのか?

では、ユーザー エクスペリエンス リサーチの価値とは一体何でしょうか?結局のところ、ビジネスとその仕組みを誰よりも理解しているのは内部メンバーのはずです。何も知らない外部ユーザーが、どのように理解を深めることに貢献するのでしょうか?

その理由は、エンド ユーザーの新鮮な視点こそ、UX リサーチに高い価値を与えるということにあります。ユーザー テストの参加者は、企業の特定の言語、プロセス、システムにどっぷり浸かっているわけではありません。そのため、特にビジネスに関与していない人間こそ、ユーザーがどこに混乱を感じているかを知るのに適しているといえます。

さらに、ユーザーの混乱やフラストレーションが、新規・潜在顧客に製品の利点を見逃すことに直結していたり、コンバージョンに至らなかったり、あきらめて代わりに競合他社に目を向けさせたりする可能性や、具体的にはどの場所でそのような混乱が生じているかを理解するためにも役立つと考えられます。

UX リサーチのプロセス

新製品の設計や開発のような分野では、ユーザー リサーチによって、製品やサービスが店頭に並ぶ前に、潜在的な問題を未然に防ぐことができます。顧客が不満を抱いたときに後で修正するのではなく、最初に製品を正しく設計することができるというわけです。

簡単に言うと、UX リサーチは、間違った製品やソリューションを設計して時間、お金、労力を無駄にしないために非常に重要です。UX リサーチは、ビジネスのあらゆる分野で価値があり、製品、ユーザー、収益に明確なメリットをもたらしてくれます。

  • 製品メリット
    潜在的な製品について顧客に直接フィードバックを求めることで、顧客がいつ、どのように製品を使用することを好むか、製品がどのような問題を解決するか、製品設計をどのように改善するかを発見することができます。
  • ユーザー メリット
    UXリサーチは、最も価値のある情報源である顧客からの偏りのないフィードバックです。この種のリサーチは、投資家、会社のリーダー、外部の影響によって偏っていないため、実用的な製品フィードバックを得るための最良のリソースとなります。
  • ビジネス メリット
    ユーザーの価値を知ることは、欠陥設計の修正に費やす時間とコストを削減し、製品開発プロセスをスピードアップし、顧客満足度を高めることにつながります。

UXリサーチは、ブランドや組織が次のようなことを実現するために役立ちます。

  • ユーザーが製品、ウェブサイト、モバイル アプリ、プロトタイプをどのように体験するかを理解する
  • UXリサーチの発見に基づき、プロトタイプやアイデアを評価・最適化することで、製品のライフサイクルの早い段階で、成功に結びつくデザインとエクスペリエンスを導き出す
  • 新たな顧客ニーズとビジネス チャンスを発掘する
  • 実際のユース ケースで発生する製品やサービスの隠れた問題を発見し、修正する。
  • 製品設計のさまざまな側面をテストすることにより、製品開発プロセスを通じて十分な情報に基づいた意思決定を行う。
  • 同業他社を圧倒するユーザー エクスペリエンスを提供する。(UX 競合調査
  • 完全なカスタマー ジャーニーにわたる各ユーザーのタッチポイントを理解する。
  • より良いマーケティングと広告のために、ターゲットとする対象について、より豊かで有用なイメージを構築する。

UX リサーチのROIとは?

UX リサーチに費やした時間と、その結果得られる収益との間には、直接的でわかりやすい相関関係がないことが多いため、UXリサーチの ROI を突き止めるのは困難です。UX リサーチは収益を促進することができます。顧客満足度や顧客維持率、ユーザーサインアップのような行動目標を示す指標を活用すれば、直接的な影響を理解ことができます。

UXリサーチとそれに関連するROIの間に(基本的)まっすぐな線を引く簡単な方法は、コンバージョン率を計算することです。

希望する行動をとった人数

————————————————————— x 100

総訪問者数/利用者数

 

このパーセンテージを計算し、時間の経過とともに再調査することで、調査による UX の変化がどのような効果をもたらしているかを確認することができます。

一般的に ROI は、投資に見合う可能な限り高い収益率を指します。しかし、PWC の調査によると、UXリサーチの ROI は301 %にも上ると結果が出ています。このことからも、収益のようなオペレーショナル データの絶対性にとらわれない方がいいと考えられます。

それよりも、一般的な UX の向上に関連する人間の行動を追跡することで得られるメリットについて、もっと考えることが重要です。

例えば、IBM の調査によると、ユーザーの 5 人中 3 人は、ポジティブなユーザー エクスペリエンスは強力な広告よりも影響力があると考えていると報告しています。また、フォレスター・リサーチは、ユーザーが必要な情報を見つけられないために、潜在的な販売の 50% もが失敗に終わると見積もっています。

また、徹底した UX リサーチによって、プロジェクトの開発期間を最大 50% 短縮することができます。

最終的に、UXに関する定量的・定性的な調査に費やした時間の ROI を追跡しようとする場合、行動とセンチメント (感情) に注目することが重要です。主な目標がウェブサイトの利用であれば、ROI がプラスになる兆候として直帰率の低下に気づくはずです。サービスを販売しているのであれば、CSAT 調査を定期的に実施し、顧客が全てにどの程度満足しているかを調べましょう。

また、いつもと違う場所でそのデータが見つかるかもしれません。例えば、チャットボットからのリクエストが減少し、特定のアクションのやり方や実行方法、または情報提供が減少した場合、新しいUXの実装が希望通りに機能していることがわかります。

このような行動データは、収益の変化よりも、UX リサーチがどれほど有意義なものであったかにスポットを当ててくれます。

ユーザー エクスペリエンス リサーチの手法

どのような UX リサーチ手法を選択するかは、取り組んでいるリサーチ設問の種類、納期、UX リサーチ チームの規模、環境などによって異なります。

どの方法があなたのプロジェクトに最適かを決定する際に、考慮すべき3つの研究側面があります:

態度的と行動的

「態度的」とは人々が口にすることを指し、「行動的」とは人々が実際に行うことを指します。態度調査は、人々が表明した信念やニーズを測定するため、マーケティングでよく利用されます。しかし、製品デザインやユーザー エクスペリエンス調査では、人々の行動がより重要になる傾向があります。

例えば、A/Bテストでは、訪問者にランダムに異なるバージョンのサイトを見せ、サイト デザインがコンバージョンや行動に与える影響を追跡します。

アイ トラッキングは、ユーザーの視線を追跡することで、ユーザーがどのようにインターフェイスのデザインと相互作用し、視覚的に関わるかを理解するのに役立ちます。

定性的・定量的手法

定性的な UX 調査研究は、結果を収集・分析し、サンプルから母集団への発見を一般化します。一般的に、多数の代表的な事例を必要とし、そのアプローチは構造化されています。

定性調査では、調査や分析のような測定ツールを使って、被験者が製品をどのように使っているかについてのデータを収集します。このタイプの調査は、「何を」「どこで」「いつ」といった質問に答えてもらうことを目的としています。

一方、定性調査は、フォーカス グループやフィールド調査のように、ユーザーを直接観察して情報を収集します。

定性調査は、消費者行動を取り巻く根本的な理由や動機を把握することで、データの人間的側面を理解することを目的としています。(代表的なケースではなく)少数の多様なケースを使用する傾向があり、データ収集アプローチもあまり構造化されていません。定性的な手法は、消費者行動の「方法」や「理由」を扱うのに最も適しています。

定性的 UX リサーチ手法

いくつかの UX リサーチの方法論は、UX リサーチャーが「どのように」「なぜ」という大きな質問に答えるのに役立つため、製品やサービスのデザインプロセスに活用できるのが特徴です。ここではそのいくつかを紹介します。

1. 参加型デザイン

参加型デザインでは、参加者は問題のツール、製品、サービスの最良のケースを描いたり、デザインしたりするよう求められます。これにより、UXリサーチャーは、特定の選択がなされた理由について質的な質問をすることができます。複数の参加者が同じような選択をすれば、採用すべきパターンを見つけるのは簡単です。

参加者に、ウェブサイトをどのようにデザインし直すか尋ねてみてはどうでしょう。回答は当然さまざまですが、そのうちの何人かが、あなたのサイトのナビゲーションをもっと目立つ場所に移動させたり、チェックアウトを画面の左から右に移動させたりするアイデアをくれるかもしれません。

2. カードの分類

カード分類では、参加者にビジネス特有のトピックを表す様々なカードを渡し、それらをどのようにグループに分類するかを尋ねます。UXリサーチャーは、なぜオーディエンスが特定のものをグループ分けするのかを探り、その結果、既存の製品に変更を加えることができます。

もしあなたが様々な商品やソリューションを扱っているのであれば、カードの並べ替えは、あなたのウェブサイト上でターゲットオーディエンスがどのように自然に誘えるかを測定するのに有効な方法でしょう。例えば、家具の販売業者であれば、このテクニックを使い、人々は家具のタイプ別ではなく、部屋別に商品を分類する傾向があることを発見するかもしれません。

3. ダイアリー研究

製品やサービスのUXが、時間の経過や使用期間を通じてどのように変化するかを知りたいのであれば、ダイアリー研究が役立ちます。ここでは、参加者は、問題の製品やサービスを使いながら、思いついたことを記録していきます。これは、単発のフォーカス グループよりも長い期間にわたって実世界の見通しを得られる有用な手段です。

アプリの初期ビルドにアクセスできるようにし、ユーザビリティ テストのメモを残してもらうことで、ユーザー インターフェースの使いづらい部分を浮き彫りにすることができます。単発のフォーカス グループでは、よく使う画面に移動するために3回タップする必要があることは大きな問題ではないように思えるかもしれませんが、実際の利用者は徐々に煩わしさを強く感じはじめる可能性が高くなります。このような長期的なユーザビリティ テストでは、本当の意味で貴重な見解を得ることができます。

定量的・定性的なUXリサーチの方法論は、ブランド プレゼンスのデザインや開発を計画する場合や、製品やサービスのデザインにおけるユーザビリティ テストに役立ちます。

使用状況

ユーザー自身についてや、アプリケーションの使用目的、アプリケーションで実行されるタスク、アプリケーションの技術的な制約などに関する情報を収集・分析すること、またコンテクスト・オブ・ユース分析(Context-of-use-analysis)を実行することなどによって、全体的なユーザー エクスペリエンスのさらに深いレベルでの理解が可能になります。

使用状況の分析データは、調査アンケート、フォーカス・グループ、インタビュー、現地視察、観察調査などを通じて収集されることが一般的です。

コンテクスト・オブ・ユース分析は、アプリケーションや製品を使用する状況において、アプリケーションや製品の最も重要な要素を特定するための方法のひとつです。このタイプの UX 調査は、製品ライフサイクルの初期に実行されることが一般的であり、製品や UX のどの部分が最も重要であるかをデータにとって特定することが可能になるまで継続されます。

ユーザー リサーチ ツール

製品の設計や開発に役立つデータを発見するためのユーザー リサーチの方法には、数多くの種類が存在します。以下は、ユーザー エクスペリエンスの分析を担当するメンバーが情報を収集し、メンタル モデル、つまりユーザーの思考プロセスに関するインサイトを引き出すために使用されるツールの、一般的な例です。

UXリサーチの最も一般的な手法

UX リサーチの調査やアンケートは、ユーザー エクスペリエンスに関する有益な情報を収集するために設計された特定の質問を利用して、対面式または遠隔式の投票によってデータを大規模に発見することができます。

ユーザー グループ または フォーカス グループ は、構造化されたインタビューの一形態であり、ターゲットとなるオーディエンスに所属するメンバーに対して、製品やソリューションに対する経験、見解、態度を聞くものです。通常、司会者や書記など中立的な立場の人が参加し、調査の特定の側面に焦点を当てた自由形式の質問をするリサーチャーが主導します。

ユーザー インタビュー とは、UX 担当者の主導のもと、ターゲットとなるユーザーと 1 対 1 で構造化されたインタビューを行い、製品に関する個人的な経験について理解を深めるものです。これらのユーザー インタビューは、ユーザー間の回答を比較対照するために完全に構造化されることも、ユーザーが会話をリードする非構造的なものもあります。

エスノグラフィック インタビュー は対象ユーザーの典型的な環境内で行われ、より良い使用状況を把握できる手法です。フィールド調査や現場視察も同様に観察的な性質を持ち、製品やサービスが使用されるその場で行われますが、より大人数のグループが参加することもあります。

これはリサーチ技術の包括的なリストではありませんが、UX 担当者がユーザビリティ テスティングまたは UX デザインのトライアルを行う主な方法の一部を表しています。

ユーザー エクスペリエンス リサーチの実施時期

新しい製品やサービスを立ち上げる前に、デザインや開発に影響を与える可能性のあるユーザーの嗜好を理解することができているかどうかは、成功と失敗の分かれ道となりえます。ユーザー エクスペリエンスに関する調査には、ターゲットとするユーザーについて得られたインサイトを盛り込む必要があるため、後者を早期に実施すればするほど、最終的な製品やサービスに良い影響を与えることができます。

製品やサービスのライフサイクルの中で、その用途や価値が進化するにつれて、ユーザー エクスペリエンスも時間とともに変化していきます。ユーザーの新たなニーズや好みに適応する方法を決定するために、ユーザー リサーチは継続的に実施されるべきであるといえます。

UXリサーチを実施するための 5 つの基本的なステップ

UXリサーチのプロセス

UXリサーチが初めての方向けに、UXテストプログラムを始める前に考慮すべきことをステップごとにまとめました:

  • 目標
    ユーザーとそのニーズについて何を知る必要があるのか決定する
  • 仮説
    ユーザーについてすでに何を知っていると思うか明らかにする
  • 方法
    納期、プロジェクトのタイプ、リサーチ チームの規模に応じて、どのような UX リサーチの方法を使うべきか検討する
  • プロセス
    選択した UX リサーチ手法を使って、ユーザーとその好み、ニーズについてのデータ収集を開始する
  • 統合
    収集したデータを分析し、知識のギャップを埋め、仮説に対処し、ユーザーからのフィードバックに基づいて製品を改善する計画を立てる

UX リサーチをシンプルで簡単にするクアルトリクス

ユーザー エクスペリエンス リサーチとユーザー テストは多面的であり、定量的データと定性的データの両方を多く含むことがあります。プロセスを容易にし、効率的でスケーラブルなものにするためには、データの収集、傾向の分析、結論の導出をすべて一箇所で行うことができる、プラットフォームを使用して実施することが望ましいといえます。

専門家のレビュー

クアルトリクスのリサーチ ソリューションは、態度的インサイトが必要な場合でも、行動的インサイトが必要な場合でも、あらゆる種類の UX データを収集し、より広範なCX プログラムの文脈で活用するための最適なソリューションです。

クアルトリクスのリサーチ プラットフォームは、対面調査や良質なデザインのアンケートを簡単・スピーディに実施し、カスタム ダッシュボードやレポートで結果を確認することを可能にします。

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