顧客満足度調査(CSAT)とは何か?
顧客満足度(CSAT)調査は、あなたの会社の商品/サービスの体験に対する顧客の満足度を理解するために使用されます。これは顧客エクスペリエンス調査の一種であり、顧客ニーズの把握、商品/サービスの問題点の理解、またスコアにより顧客を分類するために利用できます。時間経過に伴う変化を測定したり、顧客の期待に応えられているかどうかについてより深く理解するために、レートスケールがよく用いられます。
なぜ顧客満足度調査を実施するのか?
顧客満足度 は人のエクスペリエンスの中心にあり、企業のビジネス活動に対する私たちの好みを反映するものです。顧客満足度調査は、顧客があなたのビジネスやカスタマージャーニーについてどのように感じているかを理解し、新規顧客があなたの提供するサービスについて何を好むかを正確に把握するための素晴らしい方法です。
顧客満足度調査で顧客の意見を測定することが、ブランドにとって有益である理由はいくつかあります。
体験に価値ができないと感じれば、顧客は離れていく
クアルトリクスが実施した2022 年 従業員エクスペリエンス トレンド[グローバル版]最近の2022年世界消費者動向レポートによると、62%の顧客が、ブランドはもっと自分たちのことを気にかける必要があると考えていることがわかりました。悪い経験をした顧客が離反することで、売上の9.5%がリスクにさらされるため、顧客がどのように感じているかを知ることは、経済的にも有益なことです。顧客満足度調査でフィードバックを集めることで、どのように顧客をケアすればよいかを考え、小さな問題が現実の問題になる前に、顧客感情の変化をモニターすることができます。
満足度の高い顧客体験は、お金を払ってでも手に入れたい
クアルトリクスの調査では、60%の消費者が、企業が自分たちをより良く扱ってくれるなら、より多く購入すると考えていることも明らかになりました。顧客がどのような交流や体験に価値を見出すかを測定することで、顧客が何を求めてより多くのお金を支払うかを判断することができます。
満足度の高い顧客の声が口コミで広がる
米国人は、自分が体験したポジティブな体験は平均9人に、ネガティブな体験は平均16人に話すと言われています。これは、ブランドの評判に影響を与える可能性があります。ニールセンによると、調査した消費者の84%が、クチコミは最も信頼できる推薦方法だと考えています。顧客満足度調査によって、顧客がどのように感じているかを把握することは、あらゆる経験が、将来の顧客を引き寄せたり、遠ざけたりする可能性があります。
満足度は、顧客維持、ロイヤルティ、再購入の可能性の大きな指標となる
高い満足度(楽しい経験)は、顧客やクライアントの維持、製品の再購入の強力な予測因子となります。顧客満足度データは、ロイヤルカスタマーやクライアントがなぜその体験を楽しんだのかに答えるもので、企業が将来これらの体験を再現するのに役立ちます。効果的な企業は、既存顧客を維持し、新規顧客を増やすために、ワールドクラスの体験を作り、強化することに重点を置いています。
顧客満足度調査を最適なタイミングで実施することで、カスタマージャーニーをより洗練されたものにすることができる
カスタマージャーニーを作成することは、顧客とブランドの相互作用を理解し、顧客ライフサイクルを構築するための重要なステップとなります。しかし、ただジャーニーマップを作成するだけでは十分ではありません。最初の接触から、カスタマーサービス担当者との接触、購入に至るまで、ブランドとの体験の各段階で顧客がどのように感じているかを知る必要があります。顧客満足度調査を実施することで、顧客の感情を把握することができ、ジャーニーのどこに最大限の効果をもたらす必要があるのかを把握することができます。
顧客満足度測定のヒント
顧客満足度を把握するためには、顧客の体験の背景にある重要な要因を理解する必要があります。顧客がどのように感じているかだけでなく、何が原因でそのように感じたのかを知るには、顧客満足度調査を実施するのが一番です。
しかし、顧客満足度のフィードバックは漠然としたものである場合があります。そこで、「お勧めしたい度」を0~10段階で表すなど、顧客からのフィードバックに枠組みを与えることで、時系列で回答を対比・比較し、複数の関係性にまたがるインサイトやアクションを展開することができます。
顧客満足度調査の種類を選択することで、顧客満足度を測定し、改善するための指標を設定することができます。
顧客エクスペリエンス調査の種類
調査を通じて顧客エクスペリエンスを測定する方法がいくつかあります。あなたが最初に答えるべき問いは、どんな指標を用いるかです。
最もよく使われる指標は:
- ネットプロモータースコア(NPS) ®:会社に対する好感度を測るための、おそらく最も人気の指標。ベイン・アンド・カンパニーが開発し商標を持つNPSは、通常「あなたが〇〇社を友人に薦める可能性はどれくらいありますか?」という質問を0~10段階のリッカート尺度で尋ねる手短な調査です。
- カスタマーエフォートスコア(CES、顧客努力指標):この指標は、顧客とのやりとりを完了するのがどれだけ大変だったかを測定します。調査の質問は、「当社との本日のやりとりはどれくらい楽なものでしたか?」のようなものです。この調査・測定システムは、顧客サービスやサポートチームへの問い合わせ後の調査において役立ちます。
- 顧客満足度(CSAT):これは商品/サービスによく使われる指標で、購入した商品にどれくらい満足したかを測るものです。このフィードバックを得るための典型的な調査質問は、「今回の[商品/サービス]への全体的な満足度はどの程度ですか?」のようなもので、1を「非常に不満」、5を「非常に満足」とする5段階のリッカート尺度の質問方法です
この記事では顧客満足(CSAT)調査に注目します。
顧客満足度調査の質問の種類
顧客満足度調査の質問を作成する際、どのような質問を選択するかによって、得られるインサイトとエクスペリエンスを改善する能力に大きな違いが生じます。
ここでは、顧客満足度(CSAT)の質問の種類とサンプルをご紹介しますので、どの質問を選べば求めている答えが得られるかを判断するのにお役立てください。
リッカート尺度の質問
リッカート尺度の質問では、顧客に、ある極端な回答から別の極端な回答まで(例えば、「満足」という選択肢から「不満」という選択肢まで)を選択肢として提供します。選択肢には中立の回答を含めない場合もあります。
5段階のリッカート尺度の質問例として、次のようなもが挙げられます:
当社のサービスにどの程度満足していますか?
- 非常に満足
- 満足
- どちらでもない
- 不満
- 非常に不満
偶数のリッカート尺度の質問では、中立の回答を削除して二者択一を提供します。
当社のサービスにどの程度満足していますか?
- 非常に満足
- 満足
- 不満
- 非常に不満
このような顧客満足度調査の質問は、理解も回答も簡単で、定量的な顧客満足度データを得ることができます。
しかし、このような質問だけでは、顧客の本当の態度は推し量れないことがほとんどです。顧客は、この質問では理解できない特定の要因を持っているかもしれませんし、たとえ実際の経験ではそうであっても、「極端な」選択肢を選ぶことに抵抗を感じているかもしれません。
二者択一の質問
二者択一の質問では、フィードバック調査の質問に対して最も早く回答することができます。単純な「はい」「いいえ」の質問(またはそれに相当するもの)をすることで、顧客のニーズが満たされたかどうかの一般的な感覚を得ることができます。
例えば、次のような質問ができます:
当社での体験に満足いただけましたか?
[はい/いいえ]
本日お探しのものは見つかりましたか?
[はい/いいえ]
この場合でも、顧客の答えの完全な文脈を知ることはできません。
多肢選択式の質問
多肢選択式の質問では、顧客とその経験についてより詳しく知ることができます。
例えば、次のような質問をすることができます:
今日、当社のどのサービスが最も役に立ちましたか?
[サービスA]
[サービスB]
[サービスC]
このタイプの質問は、顧客が選択できるようにテキスト回答を提供するため、顧客にとってより誘導的な質問である可能性があります。しかし、単純な二者択一式やリッカート尺度の質問よりも、より多くのインサイトを得ることができます。
自由回答式の質問
このタイプの質問では、顧客が商品/サービスにどの程度満足しているか、顧客自身の言葉で説明することができます。
例えば、次のような質問ができます:
今日はどのような点を改善することができましたか?
[回答欄を開く]
自由回答式の質問では、特定の顧客の問題点や注目点をより具体的に把握することができます。しかし、顧客にとっては手間がかかるため、回答が遠のく可能性があります。
顧客満足度調査で聞くことができるその他の質問
追加質問を加えることで顧客フィードバックを整理したり、アクションを起こす助けになることもありますが、回答完了率を考慮すると通常は短いほうがよいことを覚えておいてください。
利用頻度
以下の利用頻度オプションを編集し、あなたの業界・商品に合うよう調整してください。これによりあなたの商品/サービスに対するユーザーのスキルレベルを理解するのに役立ちます。
- 毎日
- 毎週
- 1ヶ月に1回
- 2~3ヶ月に1回
- 月2~3回
- 使用していない
製品利用状況調査での質問
製品利用状況調査での質問は、顧客層が商品/サービスをどのように利用しているかをより深く理解することができます。それだけでなく、顧客がどのように感じているかも知ることができます。このことは、顧客へのアプローチ方法だけでなく、製品開発の取り組みにも役立ちます。製品に関する顧客の声を取り入れることで、顧客のニーズに応え、顧客の体験をより良くするための方法を知ることができます。
製品利用状況調査には、次のような質問があります:
- 当社の商品/サービスをどのくらいの頻度で利用していますか?
- 当社の商品/サービスの中で最も役に立っている機能は何ですか?
- 当社の商品/サービスはどの程度使いやすいですか?
- 当社の商品/サービスは価格に見合った価値を提供していますか?
- 当社の商品/サービスに期待する機能はありますか?
- 当社の商品/サービスを利用することで、どのような問題を解決しようとしていますか?
属性に関する質問
属性に関する質問は、あなたの商品/サービスがどの顧客セグメントに対してよい結果・悪い結果を出しているかを理解するのに役立ちます。クアルトリクス社はこのデータを、できるだけ調査で聞くのではなく、可能な限り顧客データベースまたはCRMから取得することを薦めています。以下、属性に関する顧客満足度調査での追加質問の例となります。
- 年齢
- 性別
- 学歴
- 雇用形態
- 世帯収入
- 配偶者の有無
- 子供・扶養家族
- 住所(郵便番号)
- 文化的背景
サイコグラフィック調査における質問
属性に関する調査の質問とは異なり、サイコグラフィック調査の質問は、より心理的な基準に焦点を当てたものです。これらの質問は、活動、興味、意見などをカバーすることができ、顧客プロファイルの全体像を把握することができます。これらの質問は、自由回答式、二者択一式、多肢選択式のいずれかを選択することができます。
サイコグラフィック調査の質問には、以下のようなものがあります:
- 特定の商品/サービスに対する感情
- 宗教
- 政治的スタンス
- 特定のテーマに対する好み
- 購入の背景となる個人的な理由
満足度カテゴリーの質問
これは顧客エクスペリエンスにおける重要な部分を理解し、満足度に寄与する要因(ドライバー)を特定するのに役立ちます。商品/サービスにとっての優先事項をそれに合わせて調整することが可能となります。
- 総合的な品質
- 価値観
- 購入時の経験
- 導入時や入会時の経験
- 保証や修理の経験
自由回答式のフィードバックに関する質問
この質問は顧客に自由記述でのフィードバックの機会を提供し、顧客満足度調査への回答を入手することであなたのチームが検討できる具体的なトピックやエクスペリエンスを挙げてもらうことが可能となります。
アクション・フォローアップ質問
これは、チームのメンバーが回答者に接触し、苦痛を理解し解決することを試みてもよいかどうかを尋ねるシンプルな質問です。
顧客満足度調査をデザインする際の成功事例
適切に構築された顧客満足度調査および質問票は、顧客満足度をベンチマーキング(評価)する基盤となるインサイトをもたらします。使用する顧客指標により、顧客にどのような種類の質問をすべきかが決まります。以下はいくつかのベストプラクティスです:
やるべきこと
- 最初に会社全体の評価を尋ねる:この質問はすばらしい初期インサイトをもたらし、後に業界・社内ベンチマーク(基準)との間での比較することができます。
- 自由記述での回答を受けられるようにすること:自由記述での質問は、回答者からオープンな回答を得ることができます。顧客のエクスペリエンスに関してより詳細な情報が得られ、予想外の新たなインサイトも発見できるかもしれません。
- モバイル用に最適化する:現在では多くの顧客がモバイルデバイスやモバイルアプリで調査に回答しているため、モバイルデバイス用に最適化すべきです。調査がモバイル回答者にとって複雑すぎると、回答率が減少します。
やってはいけないこと
- 1つの設問の中に2つ以上の質問を入れる:2つ以上の質問をしながら、一つの回答しかできないしないもの。回答者が混乱し、回答者がどの質問に対して回答しているのかわからないため、データに偏りが生じます。
- 長すぎる調査票:ほとんどの場合、CSAT調査票は10問以下とすべきです。質問票が長いと最後まで回答してもらえません。
- 社内用語・業界用語を使う:顧客が各質問をすぐに明確に理解できるようにしなくてはなりません。社内用語や業界用語は回答者を混乱させます。
顧客満足度調査とカスタマージャーニーを連動させる
顧客にいつでも体験談を聞けることは便利だと思われるかもしれませんが、顧客満足度調査はカスタマージャーニーの特定のポイントに関連付けるのが理想的です。顧客満足度調査の適切なタイミングは、提供する商品/サービスの種類、サービスを受ける顧客の種類と数、顧客とサプライヤーの交流の長さと頻度、結果の利用目的によって異なります。
とはいえ、顧客満足度調査を送るタイミングは、どのような状況であっても非常に重要でです。
以下は、顧客満足度調査に最適なタイミングの事例です:
- カスタマージャーニーのタッチポイントが発生した直後に回答を依頼する:その経験は回答者の記憶に新しいはずなので、最も正直な回答を得て、正確なインサイトを得ることができます。
- 複数チャネルを用いて顧客に最適なオプションを提供する:例えば、顧客が店から出る時に対面で、またメール、オンライン調査、電話、携帯アプリでフィードバックを求めることができます。
- アンケート疲れを避ける:どのタイミングでアンケートを実施すれば、最も有益なインサイトが得られるかを見極めましょう。
- 顧客満足度のデータの入手後は、必ずアクションに移す:カスタマージャーニーの一部が顧客を不快にさせることを知り、その問題を放置しておくのは大変無駄なことです。どのような体験が顧客の満足度を下げているのかがわかったら、変更するためのアクションを起こしましょう。
顧客満足度調査をカスタマージャーニーの適切なポイントで実施する
航空業界を例に見てみましょう。顧客満足度調査はすべてのタッチポイントで送付することができます。
- 顧客がフライトを予約した後:購入後のフィードバックは、顧客が支払い・購入のエクスペリエンスに満足したかどうかを理解するうえで重要です。予約プロセスへの顧客の満足度を調べるためには、顧客がフライトを購入した後にオンライン調査へのリンクを送ります。
- 実際のフライトの後:購入後評価には、商品/サービス提供時(またはその後まもなく)の個別の顧客の満足度が反映されます。これはトランザクショナルNPSまたはCSAT調査としてメールで送付可能です。
- 顧客サービスへの問い合わせの後:もし顧客側が問い合わせ窓口に問い合わせをした場合、CES調査を課題解決後直ちに送付すべきです。航空会社の場合、これにはフライト日の変更やロストバゲージ(荷物紛失)の連絡の電話等が相当します。ゴールは、課題解決にどれくらいの労力を要したかを見ることです。
- フライトから6カ月後:長期顧客ロイヤリティを測定するには、トランザクションの数カ月後にリレーショナルNPS・CSAT調査を送付することで、顧客がまだあなたのブランドへのロイヤリティを維持しているかを見ることができます。
- モバイルアプリ内フィードバック:モバイルアプリを使った顧客フィードバック、またはアプリ内のフィードバックタブを使って顧客エクスペリエンスを尋ねることも可能です。
顧客満足度調査結果をアクションに変換するには
顧客満足度を測ることは重要ですが、そのデータをどう使うかは最重要です。調査票に回答する時間を割いてくれた顧客には、あなたの会社がその顧客のエクスペリエンスをよりよいものにすることに本気で取り組んでいると知ってもらうことが重要です。
- クローズドループ:顧客からネガティブなフィードバックを受けたら、迅速に対応しましょう。これは顧客ロイヤリティを維持するチャンスです。消費者の70%は、クレームが初回でうまく扱ってもらえたらその会社と再度取引をする可能性が高いと答えています。
- トレンドを分析する:自社がどの指標を改善しようとしているのかを理解し、それらの具体的な要素にパターンがあるか見てみましょう。例えば、もし回答者の30%が顧客サービスの待ち時間が長すぎると答えていたら、その部分の改善が必要だということがわかります。
- 全社での取り組み:すべての部署が顧客満足を維持するために一丸となっている必要があります。もし顧客が商品の機能に関するクレームを入れてきたら、担当部署はデータを受け取り、問題を解決する姿勢を持たなくてはなりません。顧客がサービスに関してクレームを入れてきたら、顧客サービス担当者はどうすれば課題をよりよく解決できるかを理解しなければなりません。役割に基づいたCXダッシュボードの活用と分析で、担当者が確実に必要な情報を見られる状態にあるよう徹底する必要があります。.
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