ブランドは驚くほどパワフル
最も愛されるブランドは、競合他社よりも認知度が高く、価格プレミアムを設定することができ、よりロイヤルティの高い顧客を得る傾向にあります。Circle Research社によると、マーケティングリーダーの77%が、ブランディングは成長に不可欠であると回答しています。また、マッキンゼー社の調査によると、強いブランドは、他のブランドよりも高いEBITマージンを生み出しています。
消費者のブランドに対する認識によって、以下のような差が現れます。
- 瞬間的に信頼を得られるか、不信を抱かれるか
- 相場より高い価格を許容されるか、割り引き価格を要求されるか
- レベルの高い人材を確保できるか、レベルの低い人材に甘んじるか
- 目標を達成できるか、未達に終わるか
では、どうすればブランドをより強化できるのでしょうか。その第一歩は、ブランド調査に投資することです。Spencer Brenneman社の最近のレポートによると、ブランドへの投資を増やした企業の82%が、売上や新規顧客の増加など、具体的な効果を実感しています。また、ブランドを継続的にモニタリングしている企業では、インバウンド・アウトバウンドのマーケティング効果や販売パイプラインの割合がより強くなっていることがわかります。
このような結果を踏まえ、ブランド追跡調査の実施がいかに重要であるかを理解することができます。
ブランド追跡調査とは?
ブランド追跡調査では、消費者がどのように製品を購入し、使用しているか、またブランド自体についてどのように考え、感じているかを分析し、ブランドの健全性を継続的に測定します。優れたブランド追跡調査を実施することで、どのブランド施策がうまく機能し、売上にプラスの影響を与えているかを明らかにし、またそうでないものを特定することで、それらを改善することができます。
ブランドを追跡調査するメリットは何でしょうか?
ブランドは、お客様なしには成り立ちません。そのためには、お客様の声に耳を傾けることが不可欠です。ブランド追跡調査は、顧客の声を集め、データを分析し、何が顧客にとって重要であるかを明らかにします。これにより、顧客のニーズに合わせて製品やサービスを改善することが可能になります。
ブランド追跡調査は以下の分野にも効果を発揮します。
- パフォーマンスの測定と評価
- 比較調査
- 経営戦略のテスト
- 新たな可能性の発見
- 競合調査
ブランドを継続的に追跡調査することで、時間の経過とともにそのパフォーマンスを評価(報告)することも可能になります。リアルタイムの追跡調査プロセスによって、重大になる前に問題を発見し、効果が出ている分野を明確にすることができます。
また、モバイル機器、アプリ、ソーシャルメディアにより、顧客とブランドとのエンゲージメントは、多くのチャネルやタッチポイントを通じて行われるようになりました。これらの情報を集約することは企業にとって大きな課題ですが、適切なブランド追跡調査の指標を用いれば、それらを集約して分析することができます。
顧客からの定性・定量データを継続的に収集することで、ブランドの健全性を常に評価し、それに応じてマーケティングやブランド戦略を適応させることができるようになるのです。
オンデマンドウェビナー:「ダイキン工業におけるBX」
ブランド追跡調査 – 検討すべき主要な指標
ブランド追跡調査でブランドの健全性を測定することで、ブランドの商業的価値を把握するだけでなく、変化を記録し、戦略を最適化することで、ブランドから最大限の利益を得ることができます。
ブランドを定期的に測定することは非常に重要です。そうすることによって、主要な指標を長期にわたって追跡し、何が改善の原動力になっているのかを理解することができます。多くの企業は、四半期ごとにブランド追跡調査を実施していますが、新しい広告キャンペーンをこれよりも定期的に実施している場合は、その頻度を上げて、それらがブランドにどのように貢献しているかを確認するのがよいでしょう。
ブランド追跡調査の一環として追跡すべき主な指標は以下の通りです。
- ネットプロモータースコア(NPS):長年多くの企業に利用されてきた指標であるNPSを用いることで、知るべき重要点を的確に捉えています。質問例:(0-10のスケールで)あなたは家族や友人に [このブランドを] おすすめしたいと思いますか?
- ブランド ロイヤルティ:この指標は、顧客が自社のブランドから購入し続ける、あるいは自社のブランドと交流し続ける可能性がどの程度あるかを示すものです。通常、購入意思で測定され、ブランドの強さを示す良い指標となります。ブランド力が高ければ、顧客は将来的に再び自社から購入する可能性が高くなります。質問例:今後、弊社から [製品・サービスを] 購入する可能性はどのくらいありますか?
- ブランド認知:これは、ブランド認知とブランド想起の2つの指標から構成されています。ブランド認知は、消費者がブランドを認識する能力の指標で、助成ブランド想起(製品やブランドロゴを見せるなど、想起させるものに反応する場合)と純粋ブランド想起(想起させるものがない場合)で測定することができます。ブランド想起は、製品を使用した後や広告を見た後に、消費者がブランドを記憶する能力です。これは、あるコミュニケーションがブランド全般の認知にどの程度貢献したかを測る良い指標となります。
- ブランド連想:消費者は、時間の経過とともに、接するブランドに対する認識を深め、それがどのようなもので、何を象徴しているのかというイメージを心の中に形成していきます。ブランド連想を測定することで、自社のブランドがどのように見られたいか、そして実際にどのように認識されているかを確認することができます。このとき、達成可能な目標を設定するようにしてください。ブランド追跡調査では、何が自社のブランドを他者と差別化できるかを測定する必要があります。良い製品や素晴らしい顧客サービスを提供していると思われたくないブランドはありません。自社のブランドを他と差別化するものは何かを考え、それを調査することで、差別化要因を明確化することができます。ブランド連想を測定する方法の1つに、オープンテキスト フィードバックがあります。この方法を用いれば、消費者がブランドを想起させるもののない状態で一字一句のフィードバックを残す機会を提供し、消費者が実際にどう感じているかを正確に把握することができます。適切なテキスト分析ソフトウェアを使用すれば、これらのコメントを分析し、トピックごとにグループ化して、関連性が最も強い項目を確認することができます。以下のような質問が想定されます。
- [ブランド]に対して、どのようなネガティブなイメージを持っていますか?
- [ブランド]に対して、どのようなポジティブなイメージを持っていますか?
- ブランド選好度は、競合ブランドの同じ製品よりも、自社ブランドの製品を好んで購入する消費者の数を計算する、比較的簡単な指標です。この指標は、自社ブランドと競合ブランドに関するチェックボックスのリストと質問で簡単に測定することができます。質問例:どのブランドの製品を好んで購入するかチェックしてください。
- ブランド使用実態では、消費者が自社のブランドの製品やサービスを購入する頻度を知ることができます。自社ブランドと競合ブランドのチェックボックスを使って、質問してみましょう。質問例:次のうち、あなたが定期的に購入または使用しているブランドを選択してください。
- ブランド購入実態では、以前の顧客や既存の顧客を特定し、質問します。以前、[自社ブランド]から[製品]を購入したことがありますか?
- ブランド知覚品質:顧客は、性能、信頼性、外観、仕上げ、そして製品がマーケティングとどのように合致しているかについて、さまざまな経験や見識を持つでしょう。これらを明らかにするために、質問をカスタマイズすることができます。
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ブランド追跡調査の手法
従来のブランド追跡調査や追跡研究には、莫大な労力が必要とされてきました。しかし、何を測定し、どのようにターゲットにアプローチすればよいかがわかれば、調査を社内で行うことも、ゼロから構築することも、より身近になります。
追跡調査をデザインする
効果的なブランド追跡調査は、過度に複雑である必要はありません。ブランド追跡調査によって、以下の項目の達成に集中すべきです。
- 業界とブランドの動向を把握する。業界とブランドの動向の把握により、自社ブランドと競合ブランドの比較項目を理解し、ブランド全体の健全性を評価し、時系列でそのパフォーマンスを確認することができます。認知、想起、連想などの知覚指標と、購入、使用、ロイヤルティなどのパフォーマンス指標を組み合わせて使用しましょう。
- 特別な状況に対応する(製品のアップデート、プロモーションなど)。 ブランド追跡調査は、マーケティング活動の成功を確かなものとし、その活動がブランド認知全体に影響を与えているかどうかを理解するのに最適な方法です。
- 定期的なレポートシステムで、トレンドを可視化する。ブランド追跡調査は、データを活用することで、最も効果的になります。システムを設計する際には、重要な時系列データを関係者と即座に共有できるよう、定期的なレポートを設定することをお勧めします。
調査プラットフォームを選択する
アンケートの作成から配信、結果の分析に至るまで、大変な労力を必要とする作業を行うためには、調査プラットフォームが必要です。
バックエンドシステムで複雑な作業をすることなく、質問を変更したり、新しい質問をしたりできる柔軟性のあるプラットフォームを探しましょう。また、分析が簡単にできるプラットフォームであることも重要です。
ブランド調査では、誰を追跡すべきか?
アンケートに答えてくれる消費者が必要です。あらゆる種類の市場調査において、回答者パネルは必須条件です。ブランド追跡調査には、既存顧客、見込み客、そして幅広い層の人々をうまく組み合わせてください。そうすることで、異なるターゲットグループに対してブランドがどのように作用しているかを確認することができます。
ブランド追跡調査の実行頻度
ブランド追跡調査をどのくらいの頻度で運用すべきかは、追跡調査に関して最もよくある質問の一つです。
マーケティングチームやリサーチチームにとっては、スケジュールやワークフローを計画するために。経営陣にとっては、予算編成のために知っておきたい項目です。製品チームにとっては、ブランド力に関する最新情報の入手頻度を把握する必要があります。広告代理店は、キャンペーンを計画するために調査頻度を知っておきたいと考えます。
ブランド追跡調査の主な価値は、時間の経過とともに、キャンペーンや市場の変化の中で、市場でのブランドのインパクトがどのように変化したかを示すことができることです。ブランド追跡調査を一度実行しただけでは、ブランドの現在の位置のスナップショットしか得られませんが、後でもう一度(何度も)実行すれば、前回実行したときから、マーケティング、競合企業、消費者行動の変化がブランドのインパクトにどのように影響しているかを示すため、はるかに価値が高くなります。
追跡調査を稼働させる頻度は、発生する要因によって異なります。
要因 1:追跡調査の対象
多くのブランドにとって、追跡調査は主にブランドファネル、つまりブランドがいかに効率的に購買者を一般的なブランド認知から購買意欲、そして最終的にはロイヤルティやアドボカシーに移行させるかに焦点を当てています。ブランドファネルを追跡調査しているほとんどの企業は、毎年追跡調査を実行することで、不必要な予算リソースを使わずに市場の変化を測定するのに十分なデータを得ることができます。
要因 2:市場の変化の速さ
ある市場は、その他の市場よりも変化のスピードが速い場合があります。オーラルケア用品のブランドを扱うマーケティング担当者は、ハイテク業界のマーケティング担当者のような市場のスピードに対応する必要はないでしょう。もしあなたの業界が、速いニュースサイクル、アグレッシブな競争相手、変化するテクノロジー、頻繁な製品の革新など、速い変化を経験しているなら、追跡調査をもっと頻繁に(毎月、四半期ごとに)実行する必要があるかもしれません。
要因 3:新規競合企業の参入
競合他社が新たに参入してきた場合、特別なブランド調査が必要になることがあります。
オーストリアの飲料会社であるレッドブルの米国市場への参入は、コーラにとって、参入前と参入後のブランド追跡調査を実施し、コーラの購買意欲への影響を測定するには絶好の機会だったはずです。
米国の大手ファストフードチェーンであるダンキンドーナツのコーヒーへの積極的な進出によって、スターバックスはブランド追跡調査を実施し、バイヤーの反応を計測する必要に迫られたはずです。
アマゾンがFire Phoneで携帯電話市場に短期間参入したことをきっかけに、アップルとサムスンは市場の変化を把握するためにブランド追跡調査を行ったと言われています。
米国の大手レンタルブロックバスター・ビデオは、ネットフリックスとビデオストリーミングのブランドインパクトをもっと効果的に予測していれば、潰れるのではなく、独自のストリーミング機能を追加して市場シェアを守る時間があったかもしれない。
新しい大きな競争力の出現は、即席のトラッカーを走らせることを検討させ、反応決定の指針にする必要があります。
要因 4:広告キャンペーンの頻度
ブランド追跡調査は、個々のマーケティングキャンペーンの影響を測定することに関しては、絶対的なものではありませんが、正しく実行すれば、効果を発揮しているキャンペーンと発揮していないキャンペーンについての有益な情報を得ることができます。ブランド追跡調査は、主要なマーケティングキャンペーンの前後に実行するよう計画すると、取り組みの効果をより深く理解することができます。
要因 5:予想外の出来事
例えば、有名人が自社のブランドについて好ましくないツイートをしたり、顧客が従業員の不適切な行動を動画で撮影し、それが拡散された場合などといった出来事は、予想外かつ歓迎されないものです。
あるいは、例えば、自社の製品が今年最も有力なインフルエンサーから賞賛された場合など、予想外かつ歓迎に値する出来事もあります。しかし、自社のブランドにとってプラスかマイナスかにかかわらず、こういった出来事は自社のブランドにどのような影響を与えているかを理解するために、即席のブランド追跡調査を実行する好ましいタイミングとなる場合もあります。
最終的な追跡調査の頻度
一般的に、ほとんどの企業は、年1回または半年に1回追跡調査を実施することが有利であると認識しています。この頻度であれば、追跡調査の波が来るまでに十分な時間があり、調査やマーケティングの予算も確保でき、通常の市場イベントも考慮でき、適切な指導のもとで行動するのに十分なデータを得ることができます。
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