はじめに
より良い顧客体験を生み出すためには、優れたテクノロジーを利用することだけでは足りません。顧客セントリックな考えを育む組織としてのカルチャーと、個人として優れた顧客体験を実現するコンピテンシーも重要です。今回はその中でも、コンピテンシーに関してお伝えしたいと思います。
6つの要素
コンピテンシーは、よく「行動特性」というような表現をされることがありますが、顧客体験を推進していく上で重要なコンピテンシーの要素は6つあると考えています。
- LEAD ・・・ 顧客体験向上のための明確なゴール設定
- REALIZE ・・・ 顧客体験向上が経営目標の実現へ繋がるための指標設定・追跡
- ACTIVATE ・・・ スキル・専門性の向上
- ENLIGHTEN ・・・ データから発見したアクションに繋がる情報の共有
- RESPOND ・・・ 改善施策の優先順位付けと実行
- DISRUPT ・・・ 差別化を図れるエクスペリエンスの理解と想像
少し難しい表現が多いのですが、1〜6はより良い顧客体験を生み出すためのPDCAサイクルと考えてもらえればいいと思います。
コンピテンシーの成熟度モデルとは?
前述の6つの要素にはそれぞれ「深さ」があります。例えば、前に記載した「LEAD」の要素にしても、企業の中のどの範囲でのゴール設定なのかという形です。
細かい説明もあるのですが、簡潔に表現すると、どの範囲までにそのコンピテンシーの要素が広まっているかというもので、大体以下のようなステージで表現します。
ステージ1:個人レベル
ステージ2:個別チームレベル
ステージ3:チーム横断レベル
ステージ4:企業レベル
ステージ5:企業レベル - 重要度高
主観にはなりますが、日本国内を見渡した時に、どの要素においても、ステージ4や5に到達している企業は非常に稀ではないかと思っています。
昨今ですと、CX(Customer Experience)という名前を冠した部署を新設する企業も増えてきているので、ステージ3に取り組もうとされている、もしくは、ステージ4を目指すという方向性は今後も続くのではないでしょうか。
自社はどのステージ?
こういった話をすると、自分の会社のステージが気になりませんか?
英語ではありますが、以下のサイトの下にある「TAKE THE ASSESSMENT」のボタンを押してもらえると簡単なサーベイが開始されます。サーベイ完了後に診断結果が表示されますので、是非受けてみてください。
https://www.qualtrics.com/customer-experience/diagnostic/
(* ブラウザの翻訳機能を利用すれば、日本語で表示することもできます。)
診断結果は、下の表にプロットして、各要素のステージを可視化してみるのもいいかもしれません。
顧客体験を数値として表現する際に、いくつかの指標がありますが、海外ではこのような非財務指標に関して経営層が責任を追っている企業もあります。ただ、気をつけなくてはならないのは、この数値目標に固執しすぎないことです。顧客体験の向上を目指すはずなのに、数値に固執しすぎると違うところに目がいってしまい、例えば、サーベイの設問の妥当性を疑い始めたり、顧客体験向上の取り組み自体が停止してしまいかねません。
コンピテンシーに関するトレンド
昨今のめまぐるしい状況の変化で、今まで以上に必要となってくるコンピテンシーの要素は「RESPOND」です。特徴的な変化しては、下の4点があげられます。
- 個別の課題に対して、より迅速にフォローアップアクションをとるようになった。
- 収集された顧客の声から、より的確に改善のための投資を行うようになった。
- 分析された洞察を関連する運用オペレーションの中に注入することで、より広範な取り組みを実現するようになった。
- 改善プロセスに柔軟性を持たせることで、より機動的な改善活動を行うようになった
時代の流れとともに、顧客体験に必要な要素はさらに進化し続けていくと思います。今後、多くの企業でこういった取り組みが増えるにつれ、様々な事例から学ぶこともあるかと思いますが、顧客セントリックであるという根幹を忘れず、自分のステージを理解し、個人個人がアクションをとっていくことが大事なのではないかと思います。
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