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カスタマーエクスペリエンスの低下により、 世界の売上高の585兆円失われる可能性 日本では、年間11.9兆円の機会損失の可能性
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【2025年1月8日 東京発】
米国クアルトリクスの日本法人、クアルトリクス合同会社(本社:東京都千代田区、カントリーマネージャー:熊代悟、以下「クアルトリクス」)は、世界銀行のデータと2025年消費者トレンドレポートに基づく最新の調査により、カスタマーエクスペリエンスがロイヤルティと支出に与える影響を明らかにしました。Qualtrics XM Institute(XMI)による調査の結果、世界全体では、消費者の“良くない体験”から、企業は約585兆円(3兆8000億ドル)の売上を失うリスクにさらされています。これは昨年の同調査よりも18.3兆円(1,190億ドル)多い金額です。また日本に関しては、悪い体験が原因で年間約11.9兆円 (780億ドル)もの機会損失の可能性があることが算出されました。これは昨年の7兆円を5割を上回る金額です。消費者が良くない体験をした後に支出を減らす傾向が強まり、カスタマーエクスペリエンスの低下は顧客の信頼回復などのために企業のコスト増を招く状況です。
年末年始における消費者トレンド
全米小売業協会は米国の年末年始の消費額が過去最高レベルの約152兆円(9,890億ドル)に達する可能性があると予測しています[1]。消費者はショッピングを楽しみにしています。しかし、消費者に自社の商品やサービスを購入してもらえるかどうかは、企業が買い物客の期待に応えられるかどうかにかかっています。
本グローバル調査では、消費者の半数以上(53%)が、悪いカスタマーエクスペリエンスの後、支出を減らすと回答し、企業とやり取りをしたうちの10件に1件(12%)が期待を満たさなかったと回答しています。消費者が悪い体験をした後に支出を減らすリスクが高い業種で上位を占めるのは、ファストフード(66%)、百貨店(65%)、オンライン小売業(64%)、自動車ディーラー(63%)、携帯電話事業者(59%)、宅配便サービス(56%)でした。
消費者は、カスタマーエクスペリエンスに問題があった点として、サービス内容(46%)、コミュニケーション(45%)、従業員の応対(39%)を挙げています。それ以外にも価格(37%)、品質(35%)、購入後のサポート(21%)などが挙げられ、企業にとって依然として注意を払うべき点です。
一方、日本の1,199人の回答者によれば、悪いカスタマーサービスを受けたと回答した7%の約半数がブランドへの支出を停止、または削減したと回答しています。この数字は12か月前の39%より11ポイント上昇しています。
日本の消費者によれば、悪い体験が最も少ないのはデパート、航空会社、ストリーミングサービス、電気・ガスなどの公益事業会社で、悪いエクスペリエンスが最も多いのは、病院・診療所、配送業社、自動車販売、財物保険会社、インターネットサービスプロバイダーです。
日本の消費者について良くない体験の要因は、従業員の応対(54%)サービス内容(36%)価格(19%)、品質(16%)、購入後のサポート(13%)でした。
クアルトリクス合同会社のXM ストラテジー シニアディレクター 久崎智子は、次のように述べています。「年末年始は消費者と企業において重要な時期です。とくに今年は世界的に生活費の高騰が影響を与えると予想されるため、企業にとってこれまで以上に状況が厳しくなることが見込まれます。消費者は企業から提供される従業員の応対・情報や商品含め、全体の体験が期待値に合っているまたは期待以上の体験が得られたときにその企業(ブランド)を信頼します」
緊張を強いられる現場担当者
調査によると、企業は顧客体験を良くしようと注力しているものの、現場でサービスを提供する小売店の従業員やレストランの接客係といった従業員の企業に対するエンゲージメント、継続勤務意向、インクルージョンのスコアが低くなっていることがわかりました。これは企業にとって、カスタマーエクスペリエンスのリスクをさらに増大させる結果だといえます。現場で働く従業員の「職場での期待が満たされている」「報酬が公正に支払われている」とする割合も低くなっています。こうした傾向は、特に実店舗の小売店やレストランで顕著です。
クアルトリクス 主席ワークプレイスサイコロジスト、ベンジャミン・グレンジャー博士は述べます。「現場で接客する従業員は、顧客の印象に大きな影響を与える存在ですが、残念ながらこうした従業員の多くが不満を抱えたまま年末年始を迎えた可能性があります。従業員と顧客の間には、よく知られた互恵関係があり、好循環をもたらすこともあれば、悪循環をもたらすこともあります。好循環を生み出すには、まず現場のニーズに応え、従業員を支援していく必要があります。そうすることで、顧客の満足度やロイヤルティが向上する可能性が高まり、消費者が年末年始などのホリデーシーズンにより多くのお金を使ってもらえる可能性が高まると言えます」
ホリデーシーズンに顧客と従業員に優れた体験を提供するための5つの方法
- 現場の従業員のプレッシャーを軽減する – 現場の従業員が顧客のニーズに応えやすい環境が整っているかどうかは、卓越したカスタマーエクスペリエンスを実現するための重要な要素です。店頭、コールセンター、デジタルチャットの管理などさまざまな業務で、現場の従業員はポジティブなカスタマーエクスペリエンスを創出するにあたって大きな課題に直面しています。プロセスを合理化し、コミュニケーションを改善し、トレーニングに投資することで、組織は現場のチームに力を与え、全体的な顧客満足度を高めることができます。
- 明確かつ頻繁にコミュニケーションをとり、混乱を減らす – 消費者は、商品の在庫確認から購入、納品、アフターサービスに至るまで、あらゆる段階で必要な情報を提供してくれる企業を好みます。そのため企業にとって、適切な情報を適切なタイミングで提供することが、顧客の満足と信頼を確かなものにし、問い合わせの数を減らすうえで極めて重要です。
- 約束を守ることで、顧客にシンプルかつ簡単な体験を提供する –年末年始などのホリデーシーズンは何かとストレスの多い時期であるため、消費者は製品やサービスを約束どおりのかたちで確実に受け取れることを求めています。たとえば、翌日配送をうたっている企業は、顧客の信頼を維持し、余計なストレスや不安を与えないよう、その約束を確実に果たさなければなりません。会社として約束したことに顧客がどのような期待を抱くのか、考慮しておく必要があります。
- 顧客のニーズに常に敏感に対応する – 顧客のニーズ、期待、嗜好、行動は常に変化しています。企業は、アンケート調査、オンラインレビュー、コールセンター、ソーシャルメディアなどから得られるカスタマーインサイトを活用して、変化を先取りしていく必要があります。それによってトレンドや満たされていないニーズを把握することで、すばやくチャンスをつかむ可能性が高まります。
- 重要な場面で期待を上回る – 業界をリードする企業は、顧客や従業員にとって重要な場面や瞬間に着目し、そこで期待を上回ることを重視しています。そのために、提供する情報の信頼性を確保し、やり取りを迅速に完了させ、シームレスな体験を提供しています。具体的な例としては、顧客とのやり取りがデジタルチャネルで完結するケースが増えるにつれて、人と人との関わり合いの場面を重視していくことなどが考えられます。
*1 米ドル153.78 円換算(2024年12月20日時点)
■調査について
「2025年消費者トレンドレポート(グローバル調査)」は、クアルトリクスのXM Institute が2024年第3四半期に実施し、日本を含む23の国・地域23,730人(うち日本の回答者1,199人)の消費者からオンラインアンケートでデータを収集しました。
※最新の「Global Study: Bad Experiences Across 20 Industries, 2025」の全文はこちらからお読みいただけます。
【クアルトリクスについて】
クアルトリクスは、エクスペリエンス管理(XM)カテゴリーのリーダーおよびクリエーターです。クラウドネイティブのソフトウェアプラットフォームを通じて、組織が卓越したエクスペリエンスを提供し、顧客や従業員とより深い関係を構築できるよう支援します。クアルトリクスが提供するインサイトを活用することで、組織はビジネスの最大の問題点を特定し、それを解決し、優れた人材を確保してそのエンゲージメントを高め、適切な商品やサービスを市場に投入することが可能になります。全世界で約20,000社ものお客様がクアルトリクスの高度なAIを活用して、人々の声を集め、分析し、それをもとにアクションを起こしています。また、膨大な体験データに基づいた、人間の感情についての世界最大規模のデータベースも構築しています。クアルトリクスの本社は、米国ユタ州プロボとシアトルの2カ所にあります。詳しくは、qualtrics.comをご覧ください。
【クアルトリクス合同会社について】
クアルトリクス合同会社(所在地:東京都千代田区丸の内1丁目5ー1 新丸の内ビルディング 37F、代表者:熊代 悟)は、2018年に国内で事業を開始した、Qualtrics LLC(本社: 米国ユタ州プロボ)が100%出資する日本法人です。日本におけるクアルトリクス 製品の販売・サポート・導入支援を提供しています。