パンデミック以前から、一部の先進的企業は「どこからでも仕事」(WFA)の可能性を探り、採用してきました。その後のパンデミックで、多くの人々が WFA、そして WFH(’ワーク・フロム・ホーム’、在宅勤務)を余儀なくされました。
通勤する必要がなくなり、家族や友人と過ごす時間が増えることを喜ぶ人がいる一方で、WFHは仕事をする人々の孤立を招き、精神的に追い詰め、創造性を阻害すると感じる人もいました。
世界規模でのパンデミックが終焉に近づくにつれ、組織は、働く人々は私生活と職場生活のバランスをとる必要があること、将来の仕事のあり方には中間的な方法が必要であること、その中間的な方法がハイブリッド ワークである可能性が高いことに気づきつつあります。
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ハイブリッド ワークとは?
ハイブリッド ワークとは、従業員が部分的には物理的な職場で働き、部分的に自宅や別のワークスペースなどの遠隔地で働くという柔軟な勤務モデルです。
アクセンチュアの調査によると、回答者の 58%がパンデミック期間中にハイブリッド ワークを行っていました。これらの人々は、完全にオンサイトで働く人々や完全にリモートで働く人々よりも、メンタルヘルスの状態が良好で、仕事上の人間関係が強く、燃え尽き症候群が少なかったと報告しています。83%が、将来的にはハイブリッド ワーク モデルがベストだと思うと回答しています。
従業員は未来の仕事にハイブリッドを望んでいるのか?
マイクロソフトのワーク トレンド インデックス 2021 などの調査によれば、ほとんどの人が、パンデミック後もハイブリッド・ワークを続けたいと考えています。
画像は Microsoft.com より
別のマッキンゼーによる調査でも、従業員の 52% がハイブリッド モデルを好むと回答しており、この結果を裏付けています。
画像は McKinsey.com より
ハイブリッド ワークのメリット
ハイブリッド ワークがうまくいけば、従業員にも雇用主にもさまざまなメリットがあります。以下はその例です。
- 優秀な人材が集まる: 多くの従業員がハイブリッド ワークを好むようになれば、優秀で多様な人材を惹きつけ、維持することができます。
- ブランド イメージの向上:ハイブリッド ワークを提供することで、信頼を核とした柔軟で先進的な企業文化を持っているという印象を与えることができます。
- 従業員がハッピーになる: ハイブリッド ワークにより、従業員は自分の生活や心身の健康をよりコントロールしやすくなります。言うまでもないことですが、ハッピーな従業員は生産性が高く、ビジネスにより多くの成果をもたらしてくれます。
- ハイブリッド ワークはコストがかからない: オフィス スペースの光熱費が少なくて済み、従業員は通勤費や食費を節約できます。
- パートタイム従業員は、従業員と同じ土俵にいると感じられます。
4種類のハイブリッド ビジネス モデル
すべてのハイブリッド ビジネス モデルは、オフィスでの仕事とリモートワークの経験を融合させています。しかし、興味深いのは、それらはすべて、従業員がどのように働き、どのような技術を必要とし、どのようにチームや部門に最高の成果をもたらすかについて、従業員の意見を聞くことで生まれた点です。
1. 職場ベースで、リモートワークは限定的な職場
従業員は毎日オフィスとつながり、そこでミーティングやトレーニングセッション、チームミーティング、コラボレーションに参加することが期待されています。十分な技術や接続性があるため、従業員は夜間や週末にリモートで仕事をすることができます。
毎日出社していない従業員は、企業文化や、意思決定や行動へのリアルタイムな貢献を多少見逃してしまいます。
2. リモートワークが可能な職場
仕事は依然として物理的なオフィスを中心に展開され、そこでタスクの説明や開始が行われますが、従業員は週に決められた日数、自宅で仕事をすることができます。従業員は独立して集中できる仕事を家に持ち帰ることができますが、共同作業が必要なときやチームの連携が必要なときには、オフィスを利用できます。
3. デジタル ファーストの職場
ビジネスは物理的なオフィスを維持していますが、ここがハブではなく、リーダーシップ、コラボレーション、生産性、そして企業文化は主にデジタル ツールを通じて提供されています。つまり、世界中どこでも利用できるということです。通常、在宅勤務が一般的で、ワーク スペースに直接集まるのは例外的です。
4. 職場のないデジタルファースト
このモデルでは、すべてがデジタルで行われます。オフィス スペースは必要に応じて借りることができますが、常設の職場はなく、真に分散した労働力を採用します。このモデルがスムーズに機能するためには、技術もトップクラスである必要があります。また、同僚が直接会うことはあまりないかもしれません。
ハイブリッド ワークとハイブリッド在宅ワークの違いとは?
これらの用語は非常に似ていますが、それぞれ異なる作業モデルを持っています。
- ハイブリッド ワーク:従業員が1週間の勤務をオフィス勤務とリモートワークの2つに分けること ‐ とてもフレキシブルです。
- ハイブリッド在宅ワーク: リモートで働く従業員もいれば、オフィスで働く従業員もいます。WFH に指定された従業員はほとんどの時間リモートで働き、WFO の従業員はほとんどの時間オフィスにいます。
最高のハイブリッド ワーク環境を作る
従業員に、自宅とオフィスとで週休二日制にしなさいと伝えるだけでは不十分です。ハイブリッドワーキングは、従業員、企業、顧客、すべての人がメリットを享受できるよう、慎重に調整する必要があります。そして、始める前に注意すべき落とし穴もあります:
すべての人に公平か?
企業内の全員にハイブリッド ワークが提供されるのでしょうか?そうでない場合、ハイブリッド ワークが提供されない従業員にはどのような影響があるのでしょうか?
これらは包括的でしょうか?
オフィスにいることが多く、人目につきやすく影響力のある人に対し、人目につかないリモートワーカーに対する行動バイアスがあることはよく知られています。リモート ワークをする人は、女性、障がい者、介護を担う人であることが多く、リモート ワーカーに対する差別は、ダイバーシティ&インクルージョンに抵触する可能性があります。
不平等を避けることができるか?
すべての従業員が、超高速ブロードバンドや快適なホームオフィスの環境で仕事ができるわけではありません。もし企業が、従業員が1週間のうち一部でも自宅で仕事をすることを想定しているのであれば、どうすれば快適で最高の仕事ができるような職場環境を作ることができるでしょうか?
効果的はできるのでしょうか?
シンプルに職場で顔を合わせることが重要なら、ZoomやTeamsの通話では不可能なイノベーションとコラボレーションを促進することができます。リモートチームと社内チームのコラボレーションを促進するにはどうすればよいのでしょか?
幸いなことに、ハイブリッド モデルを正しく運用するためにできることはたくさんあります:
1. 最初から明確なガイドラインを設定する
リモートワークが可能な仕事と不可能な仕事、在宅勤務の対象となる従業員について、枠組みを決めておく必要があります。従業員がオフィスにいなければならない日数は決まっていますか?スケジュールは会社全体ではなく、チームや部署単位で設定した方が、全員が発言し、自分自身をまとめることができます。
2. コミュニケーションを強化する
チームは、全員が最新情報を把握し、同じ最終目標に向かって作業することで、初めて効率的に運営されます。ミーティングの時間、最大限の効果を得るためにどのコミュニケーションチャンネルやツールを使うか(例えば、簡単な問い合わせにはSlack、複雑な問題にはビデオ通話)、一人のリモートワーカーが会議室の同僚を見るのではなく、全員が個別にZoomにログインするなど、ガイドラインを作成しましょう。必要であれば複数のチャンネルですべてを繰り返し、チームメンバーが何も見逃さないようにしましょう。
3. すべての人を平等に扱う
リモート ワーカーをオンサイト ワーカーと同じように扱うことは絶対に必要です。リモートワーカーの様子をチェックするのは、向かいのデスクに座っている人をチェックするよりも手間がかかるかもしれませんが、必ず行わなければなりません。また、仕事が公平に配分されていることを確認し、リモートワーカーが、現場のワーカーが望んでいない無駄な仕事や割り当てを受けることにならないようにしましょう。
4. 交流イベントを開催する
社交や友人関係の構築は、分散した労働力では難しい場合があるため、コミュニケーションチャネルやオンラインイベントに楽しい社交的要素を組み込むことが重要です。ソーシャルチャット、今週のペットコンテスト、バーチャルドリンクランチ、ディスカッショングループなどを奨励しましょう。
すべてのハイブリッド ワーカーにキャリアアップしてもらうには
かつては、野心的な労働者は契約時間を(しばしばそれ以上に)オフィスで過ごし、昇進の際に自分とその努力が注目されるようにしていました。リモート ワーカーは人目につきにくく、毎日顔を合わせる人に注目し、優先順位をつける傾向があるため、社内の従業員にバイアスがかかる危険性があります。ビジネスリーダーは、ハイブリッドチームを開発する際に、この潜在的なバイアスを念頭に置くとともに、以下の点に注目する必要があります:
- ハイブリッド ワーカーの声に耳を傾ける
- ハイブリッド従業員をサポートし、従業員を惹きつけるための独自のソフトスキルを開発する
- リモート ワーカーが常に一貫して会話、チームの一員であることを保証するための仕組み、期待、ツールの構築を行う
- リモートワーカーが自分のチームや部署だけでなく、組織全体の同僚とネットワークを作る方法を設定する
- リーダーと同僚双方から認められ、全従業員の貢献が、称賛されるようにする
- オフィスにいる従業員だけではなく、リモート ワーカーにも社内従業員にも、キャリア開発上望ましいプロジェクトを割り当てるよう心がける
- 各人口グループにおけるスキルのギャップを認識し、それらを閉じるための対策を講じること
- 順応性があること – WFHの従業員の中には、環境が苦手でもっとオフィスで過ごしたいと思う人もいれば、オフィス勤務の従業員の中には、特定の仕事は自宅の方がうまくできると思う人もいる。
ハイブリッド ワークの未来とは
ハイブリッド ワークは2020年、2021年には大いに必要とされました。しかし、パンデミック後に世の中が落ち着くと、従業員はハイブリッド ワーキングに愛想を尽かしてしまうかもしれません。確かに、WFA はほとんどの人の仕事の一部であることに変わりはないでしょう。しかし、柔軟性のある文化は、不確実な世界で何にでも対応できる先進的企業にとって、素晴らしい基盤であると考えられます。ハイブリッドな働き方がどうなろうと、ビジネスリーダーがこれらの戦略に従えば、どんなことにも対応できるようになるでしょう。
- 従業員の柔軟性を高める:そのためには、質の高い技術、物理的なワークスペース、そして従業員のニーズ、要望、福利厚生を意思決定の中心に据える政策を組み合わせる必要があります。
- 共同作業がしやすい職場環境を作る - これはオンライン エクスペリエンスであれ、足を運ぶ価値のある物理的なオフィスであれ、同じことです。
- 従業員全員に休息を与える - 常時オンのデジタル文化は従業員を疲労させてしまう傾向があります。従業員の様子に耳を傾け、仕事量を管理し、ダウンタイムを企業文化の一部にすることは重要です。
- 在宅勤務、オフィス勤務、現場勤務、どれをとっても、誰もがサポートされて、大切にされて、同じ目標に向かって働いていると感じられるような帰属文化を創造することは重要です。
- 従業員エクスペリエンスを最高のものにすることで、優秀な人材を惹きつけ、維持し、幸せで生産的な従業員を確保し、優れたブランド エクイティを実現しましょう。
- 従業員の声に耳を傾け、継続的にフィードバックを収集:データは、戦略が機能しているところと機能していないところを理解するのに役立ち、ギャップを埋め、問題に対処するために即座に行動を起こすことができます。
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