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顧客生涯価値(CLV)とは何か?どうすればそれを高めることができるのか?

この記事は 9分 で読めます
顧客生涯価値(CLV)は、カスタマー・エクスペリエンス・プログラムの一環として追求したい鍵となる統計のひとつです。顧客生涯価値とは、購入単位だけでなく、顧客との関係全体にわたって、顧客が企業にとってどれだけ価値があるかを測定するものです。当社のガイドで顧客生涯価値の計算方法を学び、顧客のROIを高めましょう。

顧客生涯価値(CLV)とは?

顧客生涯価値とは、顧客とブランドとの関係期間全体を通して、その顧客がビジネスにもたらす総価値のことです。この価値は、個々の取引の価値を見るのではなく、顧客と関わりのある期間に行われる可能性のある全取引を考慮し、その顧客からの具体的な収益を計算するものです。

顧客生涯価値には2つの見方があります:履歴的顧客生涯価値(各既存顧客がすでにあなたのブランドでいくら使ったか)と予測的顧客生涯価値(顧客があなたのブランドでいくら使う可能性があるか)。顧客生涯価値の測定は、どちらもビジネスの成功を追跡するのに役に立ちます。

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過去の顧客生涯価値

例えば、あなたが過去10年間、同じ生産者から4,000円のクリスマスツリーを買っていたとしたら、あなたの顧客生涯価値は40,000円です。これは履歴的顧客生涯価値の例で、過去の出来事を振り返ることによって機能する指標です。これは既存顧客があなたのブランドに何をもたらしたかを理解し、理想的な顧客のプロファイルを構築するのに役立つ数字となりますが、一回の購入で考えた場合、将来の収益を予測するのにはあまり活用できません。

予測顧客生涯価値

一方、予測的顧客生涯価値を計算することもできます。これは、過去のデータを利用し、顧客との関係がどの程度続きそうか、またその価値はどの程度になるかをアルゴリズムで予測するものです。顧客獲得コスト、平均購買頻度、ビジネス諸経費などを考慮し、より現実的な顧客生涯価値を予測することができます。顧客生涯価値を計算するのはより複雑ですが、顧客ロイヤルティへの投資が必要なタイミングを見極めるにはもってこいのメソッドです。

顧客生涯価値は他の顧客指標とどう違うの?

顧客生涯価値は、客ロイヤルティを測定するネット・プロモーター・スコア(NPS)顧客満足度を測定するCSATとは異なります。

顧客生涯価値はロイヤルティが高い顧客がビジネスにどれだけの経済的利益をもたらしてくれるのか、あるいは、予測的顧客生涯価値の場合は、過去のデータに基づいて、彼らがどれだけの利益をもたらしてくれそうなのかを確認します。

既存顧客の生涯価値を知ることで、企業は利益率を維持しながら新規顧客を獲得し、既存顧客を維持するための効果的な戦略を立てることができます。次に、顧客生涯価値が追跡すべき重要な指標である理由と、それを計算し改善する方法について理解しましょう。

なぜ顧客生涯価値がビジネスにとって重要なの?

コスト削減につながる

顧客生涯価値は、追跡調査すべき重要な指標です。もっとも、新規顧客を獲得するよりも、忠実な既存顧客を維持する方がコストがかからないことを考えると、非常に重要な価値と言えます。最近の調査によると、eコマースなど顧客獲得が容易な分野でも、新規顧客の獲得コストは過去8年間で222%も増加しています。

既存顧客の顧客生涯価値を高めることに全力を尽くすのは、企業の成長を促進するための素晴らしい方法です。新規顧客に依存する(そして、そのために多額の費用をかける)のではなく、顧客が忠誠心を抱き続けるものを把握すれば、既存顧客に対して価値を高めるための行動を再現することができます。

顧客減少を発見し、食い止めるのに役立つ

顧客生涯価値は、顧客減少の初期兆候に対応するために使用できる最適な指標です。例えば、顧客生涯価値が下がっていることに気づき、顧客が製品やサービスの継続契約を怠っていることを突き止めたとしましょう。ここで顧客を呼び戻すためにロイヤリティ・プログラムを立ち上げたり改善したり、顧客サポートや更新時期のマーケティング活動を充実させたりして、顧客の再契約を促すことができるかもしれません。そうすることで、顧客生涯価値と事業収益を再び増やすことができます。

優良顧客を見つけ、それを拡大することができる

優良顧客は顧客生涯価値が高いので、注意深く分析することで、それぞれ共通点を理見つけることができます。さて、優良顧客がブランドを何度も購入する原動力は何でしょうか?共通のニーズがあるのか、特定の所得層なのか、特定の地域なのか?実際、価値の高い既存顧客だけで、顧客セグメント全体を定義することができます。

顧客生涯価値グラフ

English Japanese
Customer Lifetime Value is the net profit contribution of the customer to the firm over time 顧客生涯価値とは、長期にわたる顧客の企業に対する純利益貢献のこと
Number of Customers 顧客数
Time 時間
20% Non-profitable Customers 20%の不採算顧客
60% Profitable Customers 60%の収益性の高い顧客
20% Very Profitable Customers 20%の非常に収益性の高い顧客

顧客生涯価値が高い要因を分析し、このタイプの顧客に特化した購入者ーペルソナを作成したら、手元にある情報を使って新規顧客を探すことができます。そして、顧客を獲得すれば、将来の収益につながる予測顧客生涯価値を手に入れることも可能です。

既存顧客のコストは?

顧客生涯価値は、もう一つの重要な指標であるCAC(顧客獲得コスト)と密接に関係しています。これは広告、マーケティング、特別オファーなど、新規顧客を獲得するために投資する費用のことです。言ってみれば、顧客生涯価値は顧客獲得コストも考慮に入れて初めて本当の意味を持つのです。

例えば、コーヒーショップの平均的な顧客の顧客生涯価値が100,000円で、顧客獲得コストが100,000円以上(広告、マーケティング、オファーなどを活用した場合)かかる時、コーヒーチェーンは顧客獲得コストを削減しない限り、赤字になる可能性があります。

また、この方程式に含まれるもう一つの要素は、コスト・トュー・サーブ(Cost to Serve)です。これは、ビジネスを行うためのコストの一部で、製品やサービスを顧客の手に届けたり、顧客が商品を手にするまで必要なすべての作業が含まれます。例えば、ロジスティクス、物理的な場所での諸経費、コンタクトセンターのコストなどです。

また、顧客生涯価値の高い顧客と低い顧客のコストが同じかどうか、一部の顧客は他の顧客よりも高いかどうかなど、詳細を掘り下げることができます。既存顧客へのサービスコストが高くなりすぎると、一見顧客生涯価値が高いにもかかわらず、損失を出している可能性があります。

サービス提供コストは、一回限りの費用である顧客獲得とは異なり、顧客生涯にわたって変化します。有料テレビの契約を例にとると、契約初年度のサービス提供コストは高いかもしれませんが、顧客との契約期間が長くなるにつれて徐々に下がっていきます。従って、更新率が下がれば、平均サービス単価は上昇し、収益性が低下する可能性が高くなります。

これらの数値を長期的に理解し、並行して追跡できるようにすると「何が顧客の消費とロイヤリティの原動力となっているのか」だけでなく、それがビジネスの収益に何をもたらしているかも正しく理解できます。

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どのようにして顧客生涯価値(CLV)を計算するの?

顧客生涯価値の計算方法にはいくつかのポイントがあります。

顧客生涯価値の計算式はとてもシンプル

顧客生涯価値を測定する公式は以下の通り:

1年あたりの顧客収益 * 関係の継続期間(年) – 顧客獲得とサービスにかかる総コスト = 顧客生涯価値

この公式は、数値が前年比で比較的横ばいである可能性が高い状況に適しています。

顧客生涯価値を計算するのに役立つ公式は他にもあります。顧客生涯価値の算出に役立つガイドを読んで、これらの公式がどのようなもので、どのように適用すればよいかを理解しましょう。

顧客生涯価値の算出:その他の重要な要素

ご想像の通り、製品やビジネスモデルがより複雑な大企業では、顧客生涯価値の計算はより複雑になります。

顧客生涯価値を測定しようとしない企業もありますが、その理由としては、チームが分離されている、システムが不十分、マーケティングでの的を絞っていない、などが挙げられます。

しかし、各組織のデータが統合されれば、顧客生涯価値をより正確に算出することが容易になります。

また、顧客生涯価値は、次のような方法で測定することができます:

  • 顧客が価値を生み出すタッチポイントを特定する。
  • 記録を統合してカスタマージャーニーを作成する
  • 各タッチポイントでの収益を測定する
  • その顧客の生涯にわたって合計する

顧客生涯価値グラフ

顧客が価値を生み出すタッチポイントを特定する 記録を統合してカスタマージャーニーを作成する 各タッチポイントにおける収    益を測定する
その顧客の生涯を通算する

顧客生涯価値(CLV)を向上させるには?

顧客生涯価値とは、顧客と永続的な良好な関係を築くことです。顧客生涯価値の数値を高めるには、顧客との関係を育てることが大切ですので、ここではそのための方法をいくつかご紹介します。

カスタマー・エクスペリエンスへの投資

カスタマー・エクスペリエンスとは、来店、コンタクトセンターへの問い合わせ、購入、製品の使用、さらには広告やソーシャルメディアへの接触など、顧客とブランドとのあらゆる接点から構成されます。カスタマー・エクスペリエンスの向上は、ビジネス全体の取り組みであり、実際はカスタマー・エクスペリエンス・マネジメント・プログラムを用いて取り組むことが多いです。これらはモニタリング、リスニング、変更を行うプロセスが含まれるので、顧客の感じ方や長期的なロイヤルティ傾向の持続的な改善にもつながります。

オンボーディング・プロセスをシームレスに

カスタマーエクスペリエンスは、潜在顧客がそのブランドと出会った瞬間から始まりますが、企業は顧客が購入後のケアを必要としていることを忘れてしまうことがあります。まず、オンボーディング・プロセスが顧客のニーズに最適化され、顧客の労力を最小限に抑えるために可能な限りシンプルで簡単であることを理解しましょう。もっとも、 顧客のパーソナライゼーションと顧客に提供する特別な価値を伝えることは、最優先事項であるべきです。また、オンボーディング・プロセスにおける顧客との接し方は、継続的なつながりを期待させるようにしましょう。

ロイヤリティ・プログラムを始める

ロイヤリティ・プログラムは、割引や特典を提供することで、リピーターにインセンティブを与えるものです。ロイヤルティプログラムは、ロイヤルティカードやアプリの形をとることもあれば、顧客が購入した際にポイントが貯まるシステムを採用することもあります。もちろん、顧客維持の特効薬とは言い切れませんが、うまく計画・実行できれば、大きな成果を上げることができます。

優良顧客を評価し、報酬を与える

カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント・プログラムが稼動すれば、顧客生涯価値が最も高い顧客について、すでにある程度の見当がついているはずです。このような個人またはグループに対しては、ターゲットを絞ったマーケティングを行い、ロイヤルティを認識できるような特別オファーを提供することで、関係を深めることができます。これには、迅速な配送の無料化、ロイヤルティプログラムの上位特典、限定商品や先行発売の商品・サービスへのアクセスなどが含まれます。

オムニチャネルサポートの提供

顧客はサービスや商品との関わり方について様々な好みを持っているため、サポートチャネルにもそれを反映させた施しが必要となります。単に顧客が使いたいと思うものを提供するのではなく、特定の顧客層がどのチャネルを好むかを調査しましょう。オムニチャネル・サポートで優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供するために、セルフサービス・オプションやフロントラインでの対応に関するカスタマー・フィードバックを入手してみて下さい。

SNSの力を忘れない

ソーシャルメディアは、顧客とのコミュニケーションだけでなく、顧客がブランドや公共イメージに関する情報を収集する上でも、ますます重要になってきています。もし顧客が、問い合わせや問題に対して、SNSソーシャルメディア上の対応が遅く十分ではない、共感できないと感じれば、顧客のブランドに対する評価にストレートに影響します。ぜひ、SNSへの言及や対応を、顧客経験戦略に組み込んでみましょう。

不満足な顧客と「負」のループを閉じる

クローズド・ループ・フィードバックは、望まない解約を減らし、不満のある顧客を新たに忠実な顧客に変える強力な方法です。このモデルでは、企業が不満や不平を言う人に積極的に接触し、問題がエスカレートして顧客関係の崩壊につながる前に介入するのが目的となっています。多くの場合、こういった的を絞った努力と積極的な取り組みは、実際的にも関係を元より強固なものにする可能性があります。これは、カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント・プログラムの延長戦にある誇るべき手法とも言えます。

顧客体験を顧客生涯価値の重要な原動力にする

l顧客生涯価値について、複雑な計算にとらわれる必要はありません。ただ、顧客との生涯関係を通じて顧客が提供する価値に目を向ける必要はあるでしょう。顧客体験を理解し、主要タッチポイントでフィードバックを測定することで、顧客生涯価値の主な原動力を改善し始めることができます。

Qualtricsでは、カスタマーエクスペリエンスこそが、顧客がブランドを何度もリピートする重要な理由であると考えています。カスタマーエクスペリエンスに注力することで、顧客生涯価値を容易に向上させることができるのです。実際、カスタマー・エクスペリエンスを5/5 (星マーク)で評価する顧客は再度購入する可能性が2倍以上高く、満足した消費者の80%はより多くの支出をすることが分かっています。

このように、顧客とブランドとの関係を総合的に把握することで、将来の収益を正確に予測することができます。統合されたダッシュボードで、顧客満足度調査の結果などとともに、顧客獲得コストなどのデータを確認しましょう。

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